このコラムは、弊社が発行しているメールニュース『LABO Letter』に載せているコラムから
毎月1本ずつ抜粋して、バックナンバーも兼ねて掲載しています。
日常生活の中でふと気づいたことや、ちょっとした話題で楽しんでもらえるように
ライトな読み物として作成しているコラムなので、
この記事をご覧になっている方も、肩肘張らずに気楽に読んでくださいね。
実はこのネタは1年前から温めていたもので、
いつ出そうか、どこで出そうかと思っているうちに
あれよあれよと1年が経ってしまいました。
今回はちょうどそれに触れるいい機会になるかな、と思ったので
古いテーマですが引っ張り出してきてお話をさせてもらえればと思っています。
実は、今住んでいるマンションの管理組合の「理事長」をしています。
その理事長の任期がもうすぐ終わるので、今のうちにネタにした、というのが真相です(笑)
本当は理事長になったばかりの昨年の夏にピックアップしたかったのですが、
一通りの役割をまもなく終えた今、あらためて「役割」というものが持つ意味を考えたいなと思います。
マンションの住人どうしって、あくまでも赤の他人だけれども
戸建てと違って施設や設備を共有しているので、
設備ひとつ変えたり修理をしたりするにしても、都度都度、話し合いや情報共有が必要になってきます。
ただ、その話し合いを毎回全戸の住人を集めてやるのは
あまりにも非現実的だから少人数の理事会を作っているだけで、
理事長も、その話し合いや施設の管理のために“必要だから”設置されている役割に過ぎない…。
わたし自身は、理事長という役割についてはそれくらいの捉え方でした。
でも、理事長なんて立派な肩書名がついているからでしょうか。
毎回の理事会に出席していると、すごい決定権を持っている人だと思われたり、
マンションの行く末・将来的な価値まで左右するほど大事なポジションだと思われていたりします。
わたし自身は、マンションの理事長をそんな立派なものだと思ってないので、
「他人からはそういう目で見られるんだ」とちょっと驚いたのですが、
肩書名が持つ効果って怖いものですね。
管理会社の担当の営業さんの話を聴いていると、
中には嬉々として理事長の役割を引き受ける人もいるそうです。
特に、お仕事を辞めて老後生活・セカンドライフを始めた方が
何か1つ、自分の立場・居場所を得るために積極的に引き受ける事例がしばしばあるんだとか。
自分はマンションの理事長である、ということがその人自身の社会的な居場所・役割なんでしょうね。
昔でいう、町内会の会長みたいな立場でしょうか。
立場や役割を得ることで、社会とのつながりを保つという効果もある
ということを、理事長をしながら学ばせてもらいました。
でも、不思議ですよね。
何十年も会社・組織に勤めていて、
そこからフリーになって自由な時間もたくさんあるのに
なぜかまた組織に属することを求めてしまう、って。
わたしみたいな「組織に属さないこと」を好んで選ぶ人間からすると、
まるで元に戻るような選択をするのは謎めいた行動に映るのですが、
それはあくまでわたしの価値観ですね。
どこかに属することで得られる安心感だったり
そこで生まれる人とのつながりを欲しがる人がいて、
その人のものの見方を学べたことは、貴重な機会になりました。
「立場・役割が人を育てる」なんて言葉はサラリーマン時代にいっぱい聴きましたが
実は、この言葉はあまり好きではありませんでした。
”ポジションを上げることが正しいこと”であるかのように聴こえてしまっていたんです。
でも、「立場・役割が人とのつながりを創る」という言葉に
自分の中で少しずつ変わってきたことを感じていて、
それだったらわかりやすいな、立場・役割の大事さも理解できるな、と受け止めています。
ちなみに、わたしが理事長を引き受けた理由は、
1年前の理事会で前理事長が退任して次の理事長を決めなければいけない場面で、
「誰かがやってくれ…」と思いながら全員が押し黙っていることが時間の無駄すぎて嫌だったからです。
どうせ誰もやりたがらなくて、気の弱い人がしぶしぶ手をあげるパターンでしょ?
だったら自分が理事長をやりますから、この無意味な時間をさっさと終わらせましょう」
と言ったのをすごくハッキリと覚えています。
はい、普段は京都人だと言っていますが
親が両方とも大阪生まれ・大阪育ちでわたしも10歳までは大阪で育ったので
根っこの性格は”イラチ(せっかち)”なんですよね(笑)
つくづく組織で働く人には向いていないんだなと感じたシーンでした。
ということで、今回のひとりごとコラムはここまでです。
立場・役割(ライフロール)というキャリア関連用語に
ちょっとだけ紐づけてお話をしてみました。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
それでは、また。