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採用webテスト替え玉事件に思うこと
2023.01.07

採用webテスト替え玉事件に思うこと

執筆者 | 八阪 義浩

今回は良いニュースではないのですが、CCと関連が深い、
世間を騒がせているニュースをピックアップしてみたいと思います。
(少し古いテーマになりますが、2022/11/25に弊社のお客様向けのメールニュース”LABOLetter”にてお伝えした内容です)

みなさんは、このニュースを見たときに、どんなふうに捉えられたでしょうか?
ぜひそれを思い出しながら読んでみてください。

昨年の11月ごろに、新卒採用で用いられるwebテストを替え玉で回答することで
報酬を得ていた人物が逮捕されるという事件がありましたね。
その報道があった当日はTVでもトップニュースで扱われ、
webニュースでもたくさんのアクセスや意見があったようです。

もちろん、替え玉行為が悪いことなのは、ここでわたしが言わなくても
誰でもわかることですので、今回のコラムでは少し視点を変えてお話しようと思います。

弊社が主催する国家資格キャリアコンサルタント更新講習の中でも
K-3:学生・若者支援の講習に参加いただいた方は、
このニュースを聴いて講習の内容を思い出したのではないでしょうか。

今回の事件で行なった「替え玉」という行為は、
本来であれば基準に到達していない学生に、大人が下駄をはかせて・メッキを塗って、
さも基準を満たしているかのように見せかけている行為であること。
ここが大きな問題だとされています。

これがもし「モノ・製品」であれば、産地偽装や品質偽装であり
当然責任を取ることになるのですが、その時はおそらく「モノを交換する」という形で
補填することが一般的な解決策の1つになります。
(取引停止の可能性や損害賠償などの経済的・金銭的な話は、このコラムの主たる話題から外れるため割愛します)

一方で、今回の替え玉受検の場合は、その下駄をはかせる・メッキを塗る行為が
「モノではなく人」に対して行なわれていますよね。

そして、その替え玉を依頼した学生には、就活という今・この瞬間の課題だけでなく、
就職後に職場定着するという未来の課題があります

本来であれば、基準に届いているはずの無い学生を、
さも基準を満たしているかのように見せかけて、居られるはずの無い場所に放り込む…。
そして、その放り込まれた先の職場では、
「基準を満たしていることを前提」としてその力量を期待して迎え入れています。

当時学生だったCLさんは、いざ社会人になったときにその状況に本当に定着できるのでしょうか?
求められている人物像、社風や職場の雰囲気と本当に馴染めるでしょうか…。

良い未来を想定することはなかなか難しいですよね。

そして、わたしがお伝えしたいのはここからです。

この事実について、今、このコラムを読んでいるみなさまも含めた
すべてのCCにぜひ、自分事として捉えて欲しいことをお話しします。

例えば、就職支援やキャリア支援と称して、履歴書や応募書類に
「ここはこう書けばいい」「こうやってPRしよう」とせっせと赤ペンを入れる行為。

あるいは模擬面接などで「こう言おう」「これを主張して」と助言という名の指示をしたり、
時にそれが言えるようになるための練習をする行為。

これって今回の替え玉事件と根っこのところでは同じですよね。
法に触れてさえいなければ、メッキを塗ってもいいのでしょうか?

このコラムを読んでいるあなたは、どう思われますか?
そこを一度立ち止まって、じっくりと考えてみて欲しいのです。

CCに無理やり上げ底されて、就職先に押し込むだけ押し込んで、
その後定着できるかどうかはCL次第、会社次第…。
一方で、自分の仕事は「ケース終了」という扱いで、CLとはもう縁が切れている。

CCは成果が1件挙がって「無事終わった、バンザイ」と思っているけど、
CLにはその後の人生・キャリアがありますし、
受け入れた企業側もこれからの人材育成があります。

CCが自己の成果を喜んでいる一方で、
CLも企業も、CCが創り出したギャップに苦しめられている…。


本当にそんな姿勢でいいのか、それでキャリア支援のプロと言えるのか、ということなんです。
そして、そんな形の支援(という名の妨害)がまだまだあちこちに残っているのが
CC業界の悲しい現実でもあります。

替え玉事件が論外なのは、誰が見てもわかること。
そこで留まらず、今回の事件を見て、
わたしたちCC業界が抱える本当の問題を見つめてみてください。

「目先の成果が出れば、後のことは知らない」というスタンスでいる未熟なCCが、
支援と称してCLに関わることで、その人の人生を大きく狂わせてしまいます。
今回の事件は、それを示唆しているんですよね。

「あの事件を起こした人は悪い人だ」と他人ごとで見て、批判だけして終わりにせず、
自分自身の気持ちを引き締めるつもりで、
そしてこのCC業界自体がどうすれば良くなるかを考える材料として、
このニュースを捉えられるCCが増えて欲しい、と願っています。

そして次回は、明るい話題を扱えたら良いなと思っています。

それでは、また。

さて、今回の記事はいかがだったでしょうか?
いつも読んでくださってる方、今回初めて読んでくださった方、
どちらもここまでお付き合いくださって、感謝しています。ありがとうございます。

今後も、弊社発行のメールニュース・LABO Letter(ラボレタ―)のバックナンバーとして、
そして、弊社やわたし自身の考え・視点をお伝えする場として、
ぼちぼちペースで発信していきたいと思っています。

今回のひとりごとも、何か少しでもみなさまの良い気づきになれば幸いです。
よろしければ次回も、わたしのひとりごとお付き合いくださいませ。

それでは、また。