このコラムは、弊社が発行しているメールニュース『LABO Letter』に載せているコラムから
毎月1本ずつ抜粋して、バックナンバーも兼ねて掲載しています。
日常生活の中でふと気づいたことや、ちょっとした話題で楽しんでもらえるように
ライトな読み物として作成しているコラムなので、
この記事をご覧になっている方も、肩肘張らずに気楽に読んでくださいね。
今回は前から目にして気になっていた言葉をピックアップしてみようと思います。
専門用語の解説ではなく、身近な場面などを例にとりながら
わかりやすくなるように書いてみますので、
短時間でさらっと読んで、ちょっとした気付きを持って帰ってもらえると嬉しいです。
この言葉に触れたのはおそらく半年以上も前で、
TVのドキュメンタリー番組か何かだったと思います。
人間のモノの見え方・捉え方の1つのようで、
まるでトンネルの中のように、周りが真っ暗で周囲が見えなくなっていることと、
正面にある唯一の光だけを見ていて1つの出口・1つの道だけ見えている、
という状態を指す言葉だそうです。
CCの世界ではよく、思い込み・ビリーフという言葉でCLの状態を示したりしますが、
その思い込みが生まれているときのCLの状態が、具体的にどんなものなのか、
この『トンネルビジョン』という言葉は非常にわかりやすいですよね。
確かにCLや事例相談者さんって、
自分が正面に見ている出口(だと信じているもの)だけを見ていたり、
その出口”だけ”が明るいもので、それ以外は全部真っ暗闇だと思っていたりします。
たとえば日常の相談業務でも、あるいはCLではなく仕事仲間や取引先、家族であっても、
すごく頑なな状態の相手と対話をしていると、
「トンネルビジョン」のように自分が信じている唯一の光だけを追いかけて、
それ以外は全く聴く耳を持たない、
という場面に出会ったことがあるのではないでしょうか。
そんな時に、
「なんで相手は○○じゃないんだ!」
「なんで他の選択肢やわたしの提案を聴いてくれないんだ」
と、相手のせいにしたり、他責的な考えになってしまうと、
相手も自分のことを信頼してくれなくなって、そこからはもう何もできなくなってしまいます。
そうではなくて、より相手側の視点に立って、このように考えてみてください。
・トンネルの中にいて、そこから出たいと思っているだけ
・1つだけの光を見ていて、それ以外は全部真っ暗闇に見えてしまっている
どうでしょう?受け止め方・捉え方が全然違ってきますよね。
では、イメージトレーニングだと思って、もう少し想像を続けてみましょう。
あなたが今、真っ暗闇の中にいるとします。
そして、そこから早く出たいと願っているけれども、
でも、どっちが前なのかすら分からない状態だとしましょう。
そんなときに、パッと一筋の光が差し込んでくると、
こっちが出口だ!
と、ついつい信じてしまいませんか?
なにせ、その一筋の光以外は、全部真っ暗闇なのですから。
そして、真っ暗闇の中では、信じるものがそれしかないのですから…。
そんな真っ暗闇の中で一筋の光だけが見えている状態の時に、
どこかから急に声をかけられたらどうなるでしょう?
すぐにその一筋の光に飛びつかずに、ちょっと立ち止まって考えてみようよ
その光が見えている方向じゃなくて、他の選択肢を選んだ方がいいと思うよ
どちらが前なのかすらもわからないほどの真っ暗闇の中で、
唯一見えている光があるのに、そこに行くことを留まるような声が、どこかから響いてくるのです。
・・・これはなかなか受け入れてもらえない、とわかりますよね。
1つの事柄だけ、自分の信じているものだけを頑なに譲らない方は、
こんな風に『トンネルビジョン』になっているのだと捉えてみると、
支援時のCC側の姿勢も変わってきます。
この状態のCLさんに立ち止まること・再検討すること・他の道を選ぶこと等を示唆すると、
下手をすると、CLから見たCCは正面の唯一の光ではなく、
暗闇の方に誘導しようとする悪い人のように見えてしまう危険性すらあります。
それこそ、トンネルビジョンになっているCLを見て、
CLが間違っているから、それをCCである自分が修正してやろうなんて考えていたのでは、
CL目線になることは絶対にできないですよね。
講座の中でも、「CL第一の姿勢でいましょう」という話をよくさせてもらいますが、
その具体的な練習のしかたとして、自分がトンネルビジョンに入ってみること。
そして、その想像をしたうえで、CLが訴えている・困っていることを見てみること。
これはぜひ一度、この記事を読んでくださったみなさんも試してもらって、
CLの目線を身をもって体験する、という学びの効果を味わってみて欲しいです。
さて、今回の記事はいかがだったでしょうか?
いつも読んでくださってる方、今回初めて読んでくださった方、
どちらもここまでお付き合いくださって、感謝しています。ありがとうございます。
今後も、弊社発行のメールニュース・LABO Letter(ラボレタ―)のバックナンバーとして、
そして、弊社やわたし自身の考え・視点をお伝えする場として、
ぼちぼちペースで発信していきたいと思っています。
今回のひとりごとも、何か少しでもみなさまの良い気づきになれば幸いです。
よろしければ次回も、わたしのひとりごとお付き合いくださいませ。
それでは、また。