今週の八阪さん ~1級CC技能士に聞いてみよう~
みなさん、こんにちは。働く楽しさ研究所・代表の八阪です。
ここでは、毎週配信している弊社のメールニュース・LABO Letter(ラボレタ―)の
読者アンケートで寄せられた「こんな話を聴いてみたい」というメッセージから、
毎回1つ、話題をピックアップしてみなさまにお届けしています。
今回はCCとして成長したい!という前向きな想いをお持ち方から
こんな質問をいただきました。
みなさまもぜひ、参考にしてみてくださいね。
Q:「企業内CCなので全員が悩みを持って訪れるわけではなく、
そんな人の隠された悩みを聴きだす一言は何でしょうか。」
(大阪府・企業領域)
A:隠された、という時点で「あなたにはまだ言いたくない」という意味です。
企業領域に限らず、CCの面談の中で困ったケースとしてよく取り上げられるものに、
そもそもCL自身が相談したいと思ってない、というパターンがありますね。
例えば、今回ご質問いただいた企業領域であれば、昇進や異動などの特定の出来事があったときに、
半自動的・半強制的に面談が行なわれることがよくあるようです。
半年や1年など、ある一定の期間が経過したときの上司との定期面談や評価面談に
キャリア相談が組み込まれている、という事例もよく見聞きします。
企業領域以外でも、例えば公的な就労支援機関などで、
ひきこもり状態のCLさんが家族に半ば無理やり連れてこられた、という場合も
先のケースと同じように「そもそもCL自身が相談したいと思ってない」に該当するかと思います。
まあ、CLさんの状態に大きな違いがあるので、
さすがにこの2つをひとくくりにしてお話しするのは難しいかなと思っていますが…。
さて、本題に戻りましょう。
「隠された悩みを聞き出す一言」について、
CCとCLの視点の違いを明確にしてみましょう。
CC「悩みを聞き出したい」
CL「隠している/隠したい」
こうやって2つを並べて比較すると、ずいぶんおかしな状態だということがわかりますね。
相手(CL)が出そうとしていないものを、自分(CC)は欲しがっているのです。
これではまるで、のび太からヒミツ道具を奪おうとするジャイアンのようです。
また、「聞き出す”一言”」の部分についても注意してほしいところです。
何か特定の一言・ワンフレーズがあれば、
CLが自分の知りたいことを明かしてくれるだろう。
そんなミラクルワードがあるだろう。
という前提になっていないでしょうか?
…そんなもの、無いですよね。
もしそんな一言があったら、世の中のCCはみんなその言葉を使っています。
ちなみに、ジャイアンがヒミツ道具を欲しがるときに
のび太に放つ一言と言えば、「よこさなきゃぶん殴るぞ!」ですからね(笑)
アニメだから笑って見ていられますけど、冷静に考えると(冷静になるまでもなく?)
ジャイアンの振る舞いは横暴もいいところです。
そして、このたとえ話をわたしたちCCの世界に置き換えてみてください。
CLはまだ隠そうとしている悩みをCCが聞き出そうとする、
という発想は、そんな横暴なジャイアンと同じなんです。
これって笑い話でもなんでもないですよね。
わたしからすれば、CC業界にまだまだ残っている重大な問題だと考えています。
隠されている話をどうやって暴くかではなく、
なぜCLに隠されてしまうのか、そこに立ち戻って考えてみてください。
隠しているCLが悪いのではなく、隠されてしまうCC側の問題として捉えることが必要です。
自分はなぜ、CLに隠されていることを語らせようとしてしまうだろう?
自分はなぜ「特定の一言がある」という発想になってしまうだろう?
まず最初に、こういう考え方になるのが健全なCCの姿です。
シビアなようですが、特定の一言があるという前提で、
それを追い求めている姿は、どこかで自分が楽をしようとしていませんか?
CCがCLに何かをさせる/特定の話をさせるのではなく、
CLが話したいことを、話したい範囲で、思いのままにお話しいただく。
CLは隠したければ隠せばいいし、CLが話せるようになれば、
その時にCLが話せる範囲で話せばいい。
それが本当にCLを第一にしている状態です。
CCはただ、CLからお話しいただける範囲の中で
ヒントやきっかけを見出していき、面談を組み立てていくものです。
面談をしていて何か課題を感じたとき、うまくいってないなと思うときは、
真っ先に「自分都合が入り込んでいないか」をしっかりとセルフチェックしましょう。
それが、CLに対する誠実さの違いであり、
キャリア支援のプロとしての”CCのあり方”の違いにもなります。
より良い支援者・CCになるために、そして、ジャイアン的姿勢から脱却するために、
ご質問された方だけでなく、このコラムを読んでくださったみなさんも
ぜひ意識してみてほしいです。
それでは、今日はこのあたりで。