今週の八阪さん ~1級CC技能士に聞いてみよう~
みなさん、こんにちは。働く楽しさ研究所・代表の八阪です。
ここでは、毎週配信している弊社のメールニュース・LABO Letter(ラボレタ―)の
読者アンケートで寄せられた「こんな話を聴いてみたい」というメッセージから、
毎回1つ、話題をピックアップしてみなさまにお届けしています。
今回は相談業務に就いている方から、指導の際に困り事として
よく挙げられることを取り上げてみました。
みなさんも心当たりがないか、ご自分と照らし合わせながら読んでみてくださいね。
Q:「相談中の沈黙が怖いのですが、どう対処すればいいでしょうか?」
(神奈川県・需給調整機関領域ほか多数)
A:なぜ「話すことが善で、沈黙が悪」と捉えてしまうのでしょうか?
対処法の前に、その”自分自身の捉え方”を振り返ってみましょう。
今回のテーマも、複数人の方からいただいた質問をピックアップしました。
直接質問としてくださるだけでなく、講座の最中にもよく耳にすることですね。
自分が喋りすぎてしまうCCや、誘導のクセがあるCCによく見られる悩み・課題点でもあります。
そのタイプのCCさんには、まず最初に、
沈黙が怖くてついつい話し出してしまうくらいなのに、
自分の怖いという感情や、誘導やリードが強すぎることに
良く気づいておられますね。
と褒めるところからスタートしています。
(人を”タイプ”で分けることは、あまり好きではないですが…)
今回の質問をくださった方たちも、自分でその傾向を理解しつつも
面談中に自分自身を止めることができない、という状態になっているとのことでしたが、
きちんと自分の課題点を直視できる、というのは
CCとして健全に成長するための大切な素養ですから、ぜひ大事にしてくださいね。
では、今このコラムを読んでいる瞬間は、目の前にCLもいないと思いますので、
ちょっと落ち着いて、ゆっくり考えてみましょう。
1つ目に考えて欲しいことは、
沈黙そのものが怖いのか、
沈黙によってその後起きる(であろう)ことが怖いのか、どっちなんでしょう?
ということです。
本来、沈黙そのものにはポジティブもネガティブもないはずですよね。
ただ、どちらも声を発していない。それだけのはずなんです。
でも、本来ニュートラルであるものに対して、質問者さんをはじめ多くのCCさんは、
なぜかネガティブな感情を抱いてしまっている。
その理由を掘り下げてみると…沈黙のその先。そこにヒントがあります。
CLが沈黙してしまうと、その先に何か自分(CC)の望まない出来事が起きるんだろうな
ということを想起してしまっていないでしょうか?
なんで何も提案してくれないんだって思われそう
なんで答えられないんだって見られそう
のような、CLからの評価が下がることをCCが心配していたり、
何も話せない・出来の悪いCCだと思われたくない
時間が無いのに黙ったままだとケースが進まないから困る
というCC自身の都合やプライドを優先していたり…。
そんなふうになっていないでしょうか?
これらはいずれも、CCが考えたものですよね。
沈黙している真っ最中の、目の前のCLが気にしていることではないんです。
そう、もう一度、よくよく考えてみてください。主語が違うんです。
面談時間はCLの時間であり、その時間をどう使うかもCLの自由です。
面談時間の使い方ひとつとっても、「CLの自己決定権」に基づいて決まります。
CLはCCに「話す義務」など持っていないのです。
沈黙が怖いというのは、結局はCC側の感情に過ぎません。
わたしたちCCは、CLが「話しても良いな」と思っていただいている、
その範囲の中で面談を組み立てる必要があります。
「話さないこと」も大切なCLの権利です。
沈黙を怖いと感じる原因、その根っこの部分に
「自分の感情をCLよりも優先している」ことがなかったか、
今一度、自問自答をしてみましょう。
沈黙が怖いから話して欲しい、話すように促したい、
どうすれば話してくれるのか、なぜ話してくれないのか…
そのすべてが、CC側の自己中心的な見方になってしまっているのです。
この状態でCL第一の支援ができているか?と問われると…ちょっと厳しいですよね。
沈黙に対する怖さを持っていること、抱いてしまうこと、そこまではOKです。
ただ、その怖さはどこまで行ってもCLとは関係ない、CC側の感情・CC側の都合に過ぎません。
そこをもう一度、ちゃんと認識するところから始めましょう。
CC側の都合や感情に基づいて面談するのは、CL第一を本当に実践できるCCとは言えないですし、
それならアマチュアの人たちと何も変わらないですよね。
CCの中に湧いてきた感情があったとしても、
それは面談に影響を与えていいものではない
自分の感情は自分の中で責任を持って引き受けるものだ
と言い聞かせて、怖さに負ける自分を乗り越えることを目指して欲しいです。
それでは、今日はこのあたりで。
ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございます。