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4Sのフレームを用いて面談したのですが、うまくいかないです…。
2023.03.30

4Sのフレームを用いて面談したのですが、うまくいかないです…。

執筆者 | 八阪 義浩

今週の八阪さん ~1級CC技能士に聞いてみよう~

みなさん、こんにちは。働く楽しさ研究所・代表の八阪です。

ここでは、毎週配信している弊社のメールニュース・LABO Letter(ラボレタ―)の
読者アンケートで寄せられた「こんな話を聴いてみたい」というメッセージから、
毎回1つ、話題をピックアップしてみなさまにお届けしています。

今回は相談業務に就いている方から、指導の際に困り事として
よく挙げられることを取り上げてみました。
みなさんも心当たりがないか、ご自分と照らし合わせながら読んでみてくださいね。

Q:相談者に周囲の資源活用をしてもらいたくて、
4Sのフレームを用いて面談したのですが、うまくいかないです…。
(岡山県・需給調整機関領域)

A:そもそもCLは、4Sの枠組みで面談して欲しいと思っているのですか?

この手のお話は本当によく耳にしますね。

まずは自分の面談を構造的に理解しようとしている、
あるいは、他者に説明できるように整理している。
そんな工夫をしているのかな、と捉えています。

CCの感覚やヤマ勘で支援されたい、なんてCLはどこにもいないのですから、
きちんと考えて面談をするという姿勢はぜひこれからも大事にして欲しいです。

さて、その前提はあったうえで、今回の例について触れていきましょう。

今回は4Sが挙げられていますが、例えば1級CC技能検定の挑戦者からよく耳にするのは、
“システマティック・アプローチに基づいた面談”ですね。

標準レベルCC・国家資格CCを取ったばかりの方の中には
特定の団体だけが言っている”経験代謝”を挙げる方もよくおられます。
あるいは”傾聴をすればいいんだ”なんていう、
ふわっとした表現になっている人もいたりします。

今回の質問者の方は4Sを挙げておられますが、
それが経験代謝であっても、あるいはその他のフレームや概念であっても、
いずれにせよ、CCなりに意図したことがあって、習ったとおりにやってるんだけれども、
なぜかCLからはいいお返事・いい反応が返ってこない…。

この「自分の信じていたものが通用しない」というのは
CCとして支援・面談をするうえで、一つの大きな壁
になります。
そして、ここを乗り越えられると、CCとして一皮剥けて
さらに成長できますから、このコラムをきっかけにして欲しいです。

さて、ここまでの文章の中に、CCのおかしなところがあったのですが、
この記事を読んでくださっているみなさまは気付きましたか?
わたしの講座に何回も来てくださった方であれば、ピンときているかもしれませんね。

冒頭の回答部分でも書いていますが、
CLが「4Sの枠組みで面談して欲しいのか」という視点。ここが欠けているんですね。

周囲の資源活用をしてもらいたいのも、4Sの枠組みで面談をしようとしたのも、
全部「CCが望んでいること」でしかないのです。

今回のような質問をいただいた時に、
わたしがCCの方に返すのはいつも同じコメントです。

いつ・どこで・どうやって
“このCLは4Sのフレームで面談してほしいんだ”とわかりましたか?

そもそも、ほぼすべてのCLはキャリアに関する理論やフレームは全く知らないですし、
興味や関心も持っていないです。
そこに興味や関心を持っているのは、CCだけです。

相手(CL)が望んでいないことをCCが勝手にやって、
何でわたしのやり方でうまくいかないんだ!って言われても…
CLからすれば、知らんがなの一言です(笑)

小難しい理論や理屈を語れば語るほど、CCが知っている側・CLが知らない側という図式になり、
それがフラットな信頼関係ではなく、上下関係になってしまいます。

(補足)この信頼関係と上下関係の違いという話は、学生・若者支援の更新講習(K-3)でお話ししましたね。
覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

相手(CL)が望んでいないことを勝手にやっても、うまくいくはずがない。
文章にすると、当たり前中の当たり前ですが、
どこかでその当たり前を忘れていませんでしたか?

フレームや理論は、自分の面談を客観的・構造的に捉えて
「後から理解して、CCの反省や改善に活かす」ことには非常に有効ですが、
フレームありき・理論ありきで、CLに当てはめて使うものではないのです。

「なぜ自分の思った通りにならないのか?」という見方の時点で、
それはもうCL第一ではなく、CC第一になっています。

そして、理論やフレームを覚えたがる・使いたがる人ほど
この傾向が強くなって、結局CLがどんどん離れていってしまいます。

面談はCLのためのもの、という原点にもう一度帰ってきましょう。

100%CLのために、100%CL第一で働ける。
そんなCC像を目指していたかどうか、
もう一度ご自身の姿を自分で振り返ってみてくださいね。

それでは、今日はこのあたりで。
ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございます。