今週の八阪さん ~1級CC技能士に聞いてみよう~
みなさん、こんにちは。働く楽しさ研究所・代表の八阪です。
ここでは、毎週配信している弊社のメールニュース・LABO Letter(ラボレタ―)の
読者アンケートや弊社公式LINEの質問箱に寄せられた
「こんな話を聴いてみたい」「こんな質問をしてみたい」というメッセージから、
毎回1つずつ話題をピックアップして、みなさまにお届けしています。
今回は、前回のQ&Aの続きで「ボールを掴む・投げる」という表現の
意味についての解説をご紹介しようと思います。
(前回のQ&A・前編はこちらからどうぞ)
この記事を読んでくださっているみなさんにとっても
いいきっかけや発見につながる内容があるかと思いますので、ぜひ読んでみてください。
Q.『八阪センセの解説に出てくる”ボールを掴む・投げる”って何ですか?』
(千葉県・需給調整機関領域ほか多数)
A.『ボールを掴むは問題把握、ボールを投げるは提案や展開のことです』
(回答が長くなったので、2回に分けてお届けしています)
(前回のおさらい)
この「ボールを投げる」という表現は、
わたし自身が技能検定対策講座でよく使う言葉の1つです。
初めての人や、まだ技能検定対策講座に参加したことの無い方は
何のことだろう?
と疑問に思うかもしれないので、最初にその意味を回答させてもらいました。
CCへの事例指導やCLとの相談の中で取り扱っている話題だったり、
お互いが発する言葉のことを2人でキャッチボールしているイメージでよく表現をさせてもらってます。
参考までに、過去には面接お手本編の振り返りで、こんな音声配信しています。
『会話のキャッチボールではなく、ボールはそこに置くだけ』
(弊社公式Youtubeより抜粋)
では、ここからが後編の内容になります。
今回は「ボールを投げる」の提案や展開について、わたしなりの考えを書いてみますね。
いつ・どんなタイミングでボールを投げるのが良いのか、
相手がどう思うかわからないから、「100%これがいい」というものは存在しない
ということが前提にあることは理解したうえで読んで欲しいです。
あくまで一例であり、”わたしの場合は”という枕詞付きの説明になります。
わたし自身がボールを投げるときは、実はタイミングはさほど強く意識しません。
一応の目安としては、目の前の相手が
わたしがこんなに困って・悩んでしまうのは、自分側に何か原因があるのかも?
と自覚し始めたとき、つまり相手や周囲ではなく、
自分自身に矢印が向いたときはボールを投げやすいな、とは思っています。
それでも、そこで絶対に提案をするというわけではなく、あくまで目安にすぎません。
それよりも、自分が少しでも「おやっ?」と思った時に
その都度、そっとボールを置いています(投げない・投げつけない)。
そして、置いたボールを相手がどう扱うのかをよく観察する。
この”観察”にこそ、重きを置いています。
もし相手が拾ったなら、その話題で話を進めますし、
拾わないなら、それもまたよしとして、
次の気になるタイミングが出てくるまで根気良くお話を聴く。
また、仮にこちらのボールを拾った(=こちらの話を受け取った)にしても、
躊躇いなく拾うのと、悩みながら拾うのでは意味が違いますし、
嬉々として拾うのと、首を傾げつつ拾うのも意味が違いますね。
拾ったか/拾ってないかという二元論だけで考えることは、
絶対にしないように注意しています。
そして、CLの行動・発言の中に隠れている”ニュアンス”を見出していきます。
それをヒントにまた、次に出すボールを何にするのか、
そもそも出して大丈夫なのかも含めて検討する。
・・・これをひたすら繰り返していく形です。
この繰り返し作業が面倒だとか、話が進まないことをじれったく感じて、
根負けをして自分から前に出る人が、面談中にどんどん前に出てしまうんですね。
そして相手を置き去りにして、勝手に解決策を出したり方向性を決めてしまう。
それでは良い関わり・良い支援とは言えません。
だから、とにかく根気よく辛抱して、よく考えるのが一番なのです。
また、ボールは相手に投げつけるのではなく、あくまでそっと置くだけなので、
できるだけ柔らかく・遠回しな表現を使っていきます。
この遠回しな表現で気づくかな?
こちらの話や意図をどの程度汲み取れるかな?
もしダメなら、次はもうちょっとだけ真っ直ぐな言い方にしようか
と相手の様子を見ながら、常に考え続けています。
どういう出し方をすれば受け取ってもらえる可能性が高くなるのか、
その一番可能性の高そうな一手を打とう、
一番ストライクとして受け止めてもらえるボールを出そう。
そんなことを考え続けながら提案内容を検討しています。
おそらく他所の講座で習う「提案や具体的展開」とは、
考えていることの内容も深さも全く違うかと思います。
ただひたすら愚直に、目の前の人が受け取りやすり内容で、
受け取って効果のある形で出すにはどうすればいいのか。それを追いかけ続けています。
なんちゃら理論がどうとか、なんちゃらフレームがどうとか、
あるいは常識がどう、採用市場がどう、社会の流れがどう、
などの目の前の人以外の他の要素を持ちだしてきて
特定の方向に引っ張るようなことは、決してしないこと。
それがわたしなりに「提案・展開」というものを考えるときの視点になります。
今回のお話が、少しでも読者のみなさんの参考になれば幸いです。
それでは、今日はこのあたりで。
ここまでお付き合いくださいまして、ありがとうございます。