12月9日(土)に、ZOOMを用いたweb形式にて、
「国家資格キャリアコンサルタント更新講習」
~相談者の思考転換につながる質問力アップトレーニング~
~洞察力を高めて相談者の本音に気づける環境理解のしかた~
を開催いたしました。
こんにちは。働く楽しさ研究所の八阪です。
この日は1級・2級キャリアコンサルティング技能検定の試験前日で、
開催前には「おそらく少人数での講座になるんじゃないかな」と思っていたのですが、
いざ開催当日を迎えると、午前の質問力アップの講習は16人もの方たちにお越しいただきました。
正直に言うと、ここまで参加者が多くなると思っていなかったのでビックリしたのですが、
中には翌日の試験を受ける方もいて、CCとして学びたい、成長したいという
みなさんの意欲の高さを感じる一日でした。
一方で、午後は5名とこぢんまりとしていて、なぜかホッとしたのも覚えています。
大勢の方で賑やかな講習も、明るく楽しい雰囲気が創れて良いですし、
少人数で個別のお話をきめ細かく拾いながら進めていくのも好きなので、
登壇したわたしとしては、その両方が味わえたのが嬉しかったです。
そして、講習の中身は、みなさん納得されているシーンが多くて、
現場で使える技術・考え方を学ぶという弊社の講習の魅力も
しっかり受け取ってくれたのかなと思っています。
参加されたみなさん、ありがとうございました。
さて、それでは、今回も更新講習の振り返りをしていきましょう。
当日お伝えした内容から大事な点をピックアップして記事を書いていますので、
参加された方は復習に、まだ参加されていない方は今後の検討材料に、
ぜひご活用いただければ幸いです。
「質問力アップ」の講習の振り返り
質問力はどんなフレーズを使ったかではなく、どんな意図で質問したかが大事です。
自分の知らないことを知るために質問した時点で、CL第一ではなくなります。
この内容は、今回の質問力アップの講習を開催するときに
いつも強調してお伝えしていることです。
今回は弊社の講座に初めて来られた方がたくさんいらっしゃったので、
質問力の一番の基礎になるところを振り返っていただくために、
あらためて質問の意図についてピックアップしてみました。
冒頭の質問フレーズをたくさん考えるワークをやっている最中は、
たくさん質問が出た方が良いのかな?
自分では気づかない、すごいミラクルワードみたいなものがあるのかな?
と思いながら取り組んでいた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
そして、その後の質問を分類する作業の段階では、講習のテーマでもあるので、
思考転換型の質問が多い方がいいのかな?
という印象を持ってお話を聴いていた方も、きっと1人や2人ではないかと思います。
でも、実際のこの段落の締めくくりでわたしがお伝えしたことは違いましたね。
たとえ思考転換型の質問であったとしても、CC側が自分の思う方向に話を進めようとして
出した質問であれば、それはNGです。
情報収集型の質問は、CLは情報収集されたくて来ているわけではない、という
当たり前の事象をきちんと認識していれば、なぜNGなのかは簡単にわかるころですが、
思考転換型の質問をテーマにした講習で、その思考転換型がNGになることがある、というのは
おそらく受講前は想定されていなかったかと思います。
ただ、あらためて「CCは誰のために存在して、何のために面談・支援をするのか?」という
原点に立ち返ってみて欲しいのです。
そうすれば、思考転換型だから正しいとか、他の質問の形より優れた質問だ、
ということにはならないこともわかっていただけるはずです。
わたしたちCCは、自分が言いたいことを言う、自分がやりたいように面談する、ということは
やってはいけないのですから、思考転換を”させようとしている”時点で、おかしいんですね。
CCからの質問を通して、CLがふと過去を振り返ったり、今の自分の考え方を吟味し直したりして、
“CLが自分で・自然と気づく、そのためのきっかけになる”ことが求められているのです。
そのヒントを掴んでいただくために試したのが、中盤に練習ワークとして取り入れた
童話を使って相手がどう言って欲しいのかを考える、という
ちょっとしたお楽しみも兼ねた質問づくりタイムでした。
あのワークの後に、わたしだったらこんな質問をしますよ、という例も示しましたが、
受講された方は覚えていらっしゃいますでしょうか?
CC側が情報を知らないままであっても、きちんと”考え抜く”ことができていれば、
効果的な質問をすることができる、というのもわかっていただけたのではないでしょうか。
そして、講習中にワーク後の解説でもお話しして、
その後お送りした振り返りメールでも触れたことですが、
もう一度思い出して欲しいことを挙げますね。
面談中は、聴いてみないとわからないことにたくさん出会いますが、
そこで”わからない”という言葉を出す前に、どの程度”わかろうと努力したか”が大事。
CLは言語的・国語的に理解して欲しいわけでも、起きた事象の詳細を知って欲しいわけでも無くて、
今自分がどのくらい困っているのか、悩んでいるのか、不安なのか、苦しんでいるのか…
胸の中に抱えているものを吐き出そうとして相談に来られます。
人の気持ちは、究極的にはCL本人にしかわからないです。
ただ、そこで”聴いてみないとわからないから”といってすぐに相手に説明を求める人と、
いただいたお話の範囲で、頭と心を目いっぱい使って理解しようと努力する人と、
どちらが”わたしのことを本当にわかろうとしている”と伝わるでしょうか。言うまでもないですよね。
CCがCLのことを観察しているのと同じように、CLもCCのことをよく見ています。
自分のことをわかろうと努力している人にこそ、心を開き、本音をお話しいただけるものです。
だからこそ、わたしたちCCの質問力の決め手は、
特定の質問の方を覚えることではなく、どこまでもCL第一でい続けることなんだ、と
もう一度胸に刻んでCLと向き合うようにしてくださいね。
「洞察力と環境」の講習の振り返り
人間関係マップの要素が1つ変わるだけで、CLの発言の意味(主訴)が変わります。
だからこそ、言ったことだけを拾っていても、CL理解をしたとはいえないのです。
今回参加されたみなさんは、すごくディスカッションのときに活発・前向きで、
さらに講習の要点を掴むのも非常に上手でしたので、
わたしもディスカッション中の”仕掛け”を公表するときには
これは相当深いところまでつかんでくださるんじゃないかな?
と期待してお話させていただきました。
実際にディスカッションを再開してもらうと、
それまでは「配偶者と自分の親との関係性が心配になってくる」という話から、
「そもそも配偶者と話ができる状態なのだろうか?話をするときに気が重いのでは?」と
ディスカッションの内容が変化していきましたよね。
あの変化はなんだったのでしょうか。
そこに、今回のテーマである「洞察力と環境」の2つが関わってきます。
相談者が置かれた環境が変わると、”相談したいこと”が仮に同じであっても、
それはつまり、CLが発した言葉だけでCL理解ができないことの証明でもあります。
この体験をしてくださると、普段の相談業務でも、
言葉だけ・上辺だけのやりとりで面談がうまくできた”気になる”ことが無くなり、
本当に言いたいことはなんだろうか?まだ言えてないことがあるのかもしれない。
わたしから見たらAだけど、それをCLはBと捉えているのは
CL本人ではなく、周りからの影響によって起きていることなんだな。
というように、言葉尻ではなく、CLの置かれた立場や環境、
CLが見ている日常の世界に思いを馳せることができるようになります。
思いを馳せる、なんて言うとなんだかカッコよくて、
そして難しいことのように感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
でもこれって、誰にでも当てはまるくらい当たり前のことを
きちんと気づいていれば、ちゃんとわかることなんです。
講習の中でもお話しましたが、そもそもCLとCCは赤の他人同士ですし、
多くの場合は初対面で面談が始まります。
では、そんな初対面の人に何でもかんでも打ち明けたりすることって、あるのでしょうか?
まずありえないですよね。
むしろ、初対面なのにプライベートなことやナーバスな個人の事情などを
どんどん開示していく方がいたら、かえって人との距離の取り方やコミュニケーションの取り方に
違和感や課題感を覚えてしまうくらいです。
ということは、相談場面でしかお会いすることの無いCCに対して、
いくら「何でも話してください」といったところで、
CLはどこまで話していいのか、目の前のCCは本当に信用に足る人なのか、様子を伺いながら
自分が大丈夫だと思う範囲でしか話さない、ということなんです。
その時に、じゃあどうすれば話してもらえるのか、とあれこれ策を練ったところで、
CLの口を無理やりこじ開けることもできませんし、強引に質問を重ねても
CLはどんどん距離を取って避けていくだけになってしまいます。
だからこそ、役に立つのがCLの置かれた環境を踏まえて、
CLがその悩みを思わず抱えてしまう理屈を汲み取っていくことや、
CCから見て非合理的であっても、CLなりの見方があるはずで、それはどんなものかを
さもCLが考えているかのように考える、すなわち洞察することが必要になってくるのです。
優しくお話を聴くだけ、質問をして話を促すだけでは、CCとしては”足りない”のです。
CL理解を深めるには、CLが見ている景色をCLと同じ解像度で描き出す力が必要です。
今回のディスカッションの例では、昇格を言われて嬉しい気持ちもあるだろうけど、
実はそれを引き受けていいかどうか迷っている、という部分がありましたね。
昇格って、誰からどうやって言い渡されるのでしょう?
おそらく別室に個別で呼ばれて、まずは口頭で知らされる。
その後、一般的には書面(個別か社内全体通知)という形になりますね。
その時、まだ自分だけが自分の昇格を知っているけど、
本当は断った方が良いかも、という気持ちを抱えているCLは、
それまでの昇格を言われる前のCLと、同じ気持ちで、同じ景色を見れるでしょうか。
上司や先輩、後輩からどう見られるのか気にしませんか?
さらに言えば、”もし今回の話を断ってしまうとどうなるのだろう?”と
先のことまで想像していたりしませんか?
その悩みを持ったまま、デスクに戻って、何事もなかったかのように仕事を再開するのです。
この時のCLの心のざわめきまで、CCは敏感に感じ取り、
CLに対して自分の言葉でお伝えできるでしょうか?
とっても難しいことですが、でも、そこまでできて、ようやく共感的理解が深まるのです。
分かったつもりにならず、CLが見ている景色と、そこで感じるお気持ちを
自分もしっかりと味わえるようになる。そんな姿をぜひ、目指してみて欲しいです。
では、ここからは参加されたみなさまの感想・お声をご紹介します。
今回もたくさんのメッセージをいただきましたので、
一部だけになりますが、ぜひご覧ください。
参加された方の声
学びの多いセミナーでした。相談の際に「聴く」という事は大事にしていますが、今回「訊く」という新しい「きく」に衝撃を受けました。
また自分のきき方は「感情受容型」だと思っていたのですが「情報収集型」だったことを知り、だから相談の現場で相談者の反応が「腑に落ちていない」感を感じることがあったのだなと思い当たりました。グループディスカッションでもメンバーの方のとらえ方などを共有することで気づかされることが多かったです。
セミナーの場全体も温かく参加しやすい雰囲気でした。八阪先生、本日はどうもありがとうございました。
相談者が聞きたい言葉であるか?という先生の講義が、とても刺さりました。これがクライアントファーストであると、とてもしっくりきて腹落ちしました。また養成講座とは違う講義をされた部分もあり、すこし混乱しましたが、ゆっくり考えたところ、面談に正解はないので、相談者にとって最適かつ有効な対応ができるよう、うまく使い分けができるように訓練していきたく思います。
今回も八阪先生の誠実さが身に沁みる講座でした。柔らかく楽しい雰囲気の中にも背筋が伸びるような感覚があります。ありがとうございました。
「会話のラリー」のお話ではこれまでの自分の面談を振り返り、自分主体で話を進めていなかったか?と考えさせていただきました。企業領域ということもありヒヤリングシートを用いた面談を行っていますし、自分から唐突に話題を変えてしまったこともあるだけに耳が痛かったです。相談者主体の面談ができるように、いただいたお話の中で相談者に考えてもらえるように返していくことを今後の指針として実務に取り入れていきたいです。
童話を用いて質問を創るグループワークでは、決めつけと推測は違うことを理解するというお話が印象に残りました。八阪先生が例として挙げられた言葉と意図を聞いた時、受け身になりがちな自分自身に気付きました。相談者主体の姿勢のもと、自分から取りに行く力も身に付ける必要がありそうです。
「思考転換は万能ではない」というお話では、まさに自分が気にかかっていた部分を説明していただけました。他責的な状態の相談者との面談において、思考転換型の質問をすると怒らせてしまうのではないか?という懸念がありました。そんな時、まずは心を開いて話してもらえるように相談者の気持ちに寄り添うことを意識してきましたが、このままで良いのだろうかと感じることもありました。「ネガティブを受け入れてほしい相談者にはあえてしっかり付き合うこともある」とお話いただけた時に、自分の関わりを肯定してもらえたように感じました。
とはいえ、相談者の言葉の奥にある本当に言いたいことは何なのか?と考える努力は足りていなかったと感じています。今後は「相談者がされて嬉しい質問なのか?」を基準に質問を考え、その意図を説明できる状態を目指します。
最後に、日常からの訓練のお話では自分自身の原点を思い出しました。接客業の中で「どうしたら相手に喜んでもらえるかな?」と考えてコミュニケーションを学び始めたことが今の仕事に繋がっており、これからも初心を大切に取り組んでいきたいと感じました。ありがとうございました!
相談者の周りの人たちとそのつながり、そしてその関係はどうなっているのかを丁寧に聴いていくことで、相談者にもみえていなかったことに気づいていけたり、あらたな気付きをもたらせたり、解決の糸口をみつけることができるので、有効であることが改めて実感することができました。
CLに真に寄り添うということは、傾聴や共感といった言葉で言い換えられるだけのものではなく、CLの言葉にならないところまで洞察できる、少なくともその努力ができることだと改めて気付かされました。そして、言葉にならないCLの思いに近づくために、CLの周りを取り巻く人たちとの関係性を広く意識してみることが大きな助けになる。これは大きな学びです。
私は日々、進路選択や就活に迷ったり悩んだりしている学生に向き合っています。彼ら彼女らの口から周りの人たちの話、例えば「親に〇〇な会社に就職して欲しいと言われたけれど、私はそう思えなくてつらい」等の悩みを聞くことは珍しくないですし、所謂ガクチカに書く材料として周りの人たちとの関係を掘り下げていくことも良くあります。
しかし、言葉として語られない周りの人間関係まで意識することは殆どなく、狭い視野の中で考えるだけで「深掘りしたつもり」「寄り添ったつもり」になっていたのだと、ある意味ショックを受けました。CLの言葉として周りの人が登場するケースでも、関係性の中身を深く見る前に「話し合ってみましたか?」とさらっと問い掛けてしまったりも。本日の研修がなければ、これからも疑問を感じることなくいたことでしょう。
本日の学びを現場で活かすことが、次に私がやるべきことだと思います。具体的にどう形にしていくのか、考えることを続けていきます。
相談者の言葉をそのまま受け止める状態と、周囲の人との関係性が見えている状態とでは、支援の幅がこんなにも変わるのかと体感できる講座でした。
相談者Aさんのグループワークでは、相談者が言わんとしていることを考える難しさを感じながらも、周囲との関わりやその影響を参加者の方々と考えることで相談者像がだんだん浮かび上がってくる感覚を体験できました。また、他の参加者の方のお話を聴く中で、自分自身の思い込みがCCとしての推測に反映されていたことに気付かせていただきました。最後の「仕掛け」の発表には驚きました!
八阪先生からのフィードバックでは、最終的に相談者がどんな選択をしても相談者のためになる支援に繋がっており、静かな感動がありました。私自身もCCの存在意義の理解が深まるとともに、そんな風に関わってもらえたら嬉しいだろうなと相談者の視点からも体感させていただけました。私も「この人になら話しても大丈夫」と思ってもらえるように信頼関係を築くこと、相談者がどんな風に関わってもらえたら嬉しいかを考え続けながら日々取り組んでいきたいと思います。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
当日の講座の様子
アンケートにご協力をいただいたみなさま、ありがとうございます。
まだの方も、よろしければぜひご感想をお聞かせください。
こうしてお写真の表情を見ていると、すごく楽しみながら学んでくださっていることが
画面越しでもよく伝わってきて、わたしとしても良い学びの機会を創ることができて
本当に良かったなと実感しています。
特に午後の講座でお伺いしたのですが、弊社の講座を偶然見つけてくださった中で、
会社名だったりHPに惹かれて「なんだかおもしろそうだ!」と感じて
来てくださったという方が複数いらっしゃいました。
元々そのねらいがあってHPのデザインも、社名も、こだわって用意したものなので、
「こんな人に来て欲しいなぁ」とわたしたちが考えていた方が
まさにジャストフィットで来てくださって、
弊社の講座の雰囲気やブランドイメージがうまく伝わったことも嬉しかったです。
ご参加いただいたみなさん、ありがとうございます。
ぜひまた、次の講習でお会いしましょうね。
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